フォワーダーとは、国際物流において荷主と運送業者の間に立ち、貨物の輸送を手配する専門業者です。特に日本は島国という特性上、海外へ輸出するためには海上輸送や航空輸送が必要であり、その手配を円滑に行うフォワーダーの存在が重要です。グローバル化が加速している現代社会において、海外進出を検討している企業にとって、フォワーダーを活用することで海外進出のハードルを低くしてくれます。
自社のニーズに合ったフォワーダーを選ぶことで、国際物流の効率性と安全性を大幅に向上させることが可能です。そこで今回は、フォワーダーを活用するメリットや選び方のポイントについて詳しく解説します。
物流におけるフォワーダーとは?
フォワーダーとは「貨物利用運送事業者」とも呼ばれ、国際物流において貨物の輸送を代行するアウトソーシングサービスです。フォワーダー自体は輸送用の船舶や航空機を所有せず、複数の運送会社と連携し、荷主の貨物を最適な方法で輸送することを目的としています。
フォワーダーの基本的な業務は、海外へ商品を送りたい企業に対して適切な輸送手段を提案し、仲介することです。最近では、国際物流に関する書類の作成などの業務も一括して行うことが一般的になっています。
フォワーダーの主な役割は以下のとおりです。
- ・船舶や航空機の国際輸送の手配
- ・船積書類などの輸送関連書類の作成
- ・通関業務(海外貿易に必要な手続き)の代行
- ・港湾や空港での貨物の梱包、保管、配送業務
フォワーダーの必要性
国際物流を行うには通関手続きや複数の運送手段の手配、法規制への対応など、多くの課題があります。フォワーダーはこれらの問題を解決する役割を果たします。
輸出入を行う際は、各国ごとの法規制に沿った通関手続きが必要です。手続きに誤りがあると、貨物が通関できずに滞留する可能性があります。フォワーダーは、国際物流に関連する最新の法規制情報を常に把握しており、必要な許可申請や書類の作成を行います。
また、国際物流では複数の輸送手段を効果的に組み合わせる必要があるため、各輸送手段の手配や調整は非常に重要です。フォワーダーは複数の運送事業者と提携しており、最適な輸送手段を手配できます。
さらに、フォワーダーは定期的に大量の貨物を扱うため、運送事業者との交渉力も高く、それによってコスト削減が可能になります。
乙仲や通関業者との違い
フォワーダーと似た業務を行う事業者には「乙仲」や「通関業者」などがあります。いずれも物流に関連する業務を行いますが、それぞれの役割には明確な違いがあります。
事業者 | 役割 |
---|---|
フォワーダー |
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乙仲(乙種海運仲立業) |
|
通関業者 |
|
このように、フォワーダーは広範囲にわたる国際物流サービスを提供し、乙仲や通関業者はそれぞれ特定の専門分野に特化しています。
フォワーダーの主な業務内容
フォワーダーは輸出入業務の全般を代行するため、その業務内容は多岐にわたります。ここでは、フォワーダーの主な業務内容について詳しく解説します。
- ・国際輸送手段の手配
- ・輸送書類の作成と管理
- ・通関業務の代行
- ・貨物の保管・梱包業務
- ・現地での配送と納品の手配
国際輸送手段の手配
フォワーダーは、荷主のニーズに応じて最適な輸送手段を手配する重要な役割を担っています。具体的には、提携している船舶会社や航空会社と調整して輸送スペースを確保したり、荷主の商品に適した輸送手段を選定したりすることです。
例えば、海上輸送は大量の貨物を一度に運べるのが強みです。一方、航空輸送は短納期で貨物を届けることが可能で、生鮮食品や医療品、精密機器などスピードを重視する商材に適しています。このように、商材の特性に合わせて輸送手段を選ぶことが重要です。
また、フォワーダーを利用することによって、コストや日数の観点から最適な輸送手段を選択できるほか、豊富な知識と経験に基づいた提案を受けることができます。また、輸送中や現地で問題が発生した場合でも、リスクを抑えることが可能です。
一方で、フォワーダーごとに得意とする分野が異なるため、自社の取扱商品に合わせて適切なフォワーダーを選ぶことが重要です。さらに、取扱量の多い業者を選ぶことで、より低コストの輸送手段を利用できる可能性が高まります。
輸送書類の作成と管理
国際輸送では、複数の言語で書類を作成する必要があります。フォワーダーは多言語対応が可能であり、これにより言語の壁を越えてスムーズな輸送を実現します。フォワーダーによる書類の作成や管理は、国際輸送を円滑に進める上で非常に重要です。
フォワーダーは、船荷証券(B/L)や航空運送状(AWB)などの重要な船積書類を作成します。これらの書類は貨物の所有権や運送契約を証明するものであり、貨物の引き渡しや支払いをスムーズに行うために不可欠です。
さらに、フォワーダーは輸出者に代わってインボイス(商業送り状)を作成します。インボイスには商品の詳細、数量、価格などの重要な情報が記載されており、正確に作成することで通関手続きがスムーズに進みます。
通関業務の代行
国際貿易をスムーズに進めるためには、通関手続きが不可欠です。この手続きは非常に複雑で専門的な知識を要しますが、フォワーダーや通関業者を利用することで、企業は安心して海外取引を行うことができるでしょう。
フォワーダーは、荷主に代わって税関への申告を代行します。輸出入の際には、税関に貨物の内容を申告し、許可を得る必要がありますが、フォワーダーはこの手続きを円滑に進め、通関業務を含む一連の輸送手続きを一貫して管理します。
これにより、荷主は複雑な手続きをフォワーダーに任せることができ、業務効率を大幅に向上させることが可能です。また、フォワーダーが輸送関連書類の管理を一元化することで、荷主は書類管理の負担から解放され、より重要な業務に集中することができます。
貨物の保管・梱包業務
フォワーダーは、貨物の保管、梱包、配送などの業務を通じて、貨物の品質を守るサポートを提供しています。具体的には、港湾や空港での一時保管、通関完了までの保税倉庫での保管、適切な環境管理などです。
また、輸送中の破損を防ぐため、梱包材の選定や振動・衝撃への対策を施します。特殊条件が必要な貨物には、専門知識を活かした最適な梱包を行います。
現地での配送と納品の手配
フォワーダーは通関手続きや保険の手配を通じて、輸送中のトラブルを未然に防ぎます。急な輸送計画の変更や輸送先の変更にも柔軟に対応可能です。そのため、荷主は安心して輸送を任せることができます。
また、フォワーダーが一貫して管理することで、荷主は複雑な手続きを任せることができ、業務の効率化が図れます。このように、現地での配送や納品手配を一貫して管理することは、スムーズな運営に寄与し、荷主の負担を大幅に軽減する役割を果たしています。国際輸送において、フォワーダーの存在は不可欠だといえるでしょう。
フォワーダーを活用する5つのメリット
効率的かつ安定した輸送業務を実現するために、フォワーダーの活用は欠かせません。ここでは、フォワーダーを活用する以下のメリットについて解説します。
- ・国際輸送における知識と経験が豊富
- ・コスト削減と効率的な輸送を実現
- ・輸送リスクの軽減と柔軟なトラブル対応
- ・多様なサービスの一括提供
- ・スムーズな海外市場への進出サポート
国際輸送における知識と経験が豊富
フォワーダーは、国際輸送における豊富な知識と経験を活かし、複雑な輸出入業務をスムーズに進めることができます。具体的には、複数の船会社や航空会社と提携しており、コストや納期を考慮して最適な輸送手段を選定することが可能です。
また、大量の貨物を扱うことで割引運賃を適用でき、輸送コストの削減につなげられます。さらに、専門性の高い書類作成や通関手続きをフォワーダーが代行することで、自社で対応するよりも効率的に業務を進めることができます。
特に、初めて輸出入業務に取り組む企業にとって、フォワーダーの活用は非常に有効です。複雑な手続きや法規制に精通したフォワーダーに業務を委託することで、初めての輸出入でも安心して取り組むことができます。
コスト削減と効率的な輸送を実現
フォワーダーは、貨物の大量輸送によるスケールメリットや、効率的な輸送ルートの選定を通じて、輸送時間とコストの削減を図ります。さらに、海上・航空・陸上輸送を組み合わせ、各輸送手段の長所を活かしつつ全体の効率を向上させます。
フォワーダーとの提携により、荷主は自社で物流ネットワークを構築する必要がなく、物流コストや人件費を削減できるでしょう。
加えて、フォワーダーはリスク予測と対策を講じ、遅延や追加コストの発生を防ぎます。これらの戦略により、フォワーダーは荷主に対してコスト削減と効率的な配送を同時に提供し、ビジネス競争力の向上に貢献しています。
輸送リスクの軽減と柔軟なトラブル対応
フォワーダーは、国際輸送におけるリスク管理を効果的に行うため、輸送ルートや貨物の特性を考慮した上で、事前にリスクを評価し、適切な対策を講じます。
天候による遅延が予測される場合、輸送時間やコスト効率を考慮して最適な輸送方法を選定し、タイムリーかつコスト効率良く貨物を届けます。世界中の輸送業者や通関業者とのネットワークを駆使し、複雑な輸送経路を管理してリスクを分散させるため、万が一の事故やトラブルの際も安心です。
さらに、フォワーダーは輸送中のトラブルに迅速かつ効果的に対応する能力を備えています。貨物の状況を必要に応じて適切に確認し、問題が発生した場合には、代替ルートや手段を迅速に提案し、円滑な輸送を確保します。
多様なサービスの一括提供
フォワーダーは、輸出入に関わる多様なサービスを一括して提供し、効率的な国際物流を実現します。具体的には、以下の業務を行います。
- ・船舶や航空機などの最適な輸送手段を選定し、手配
- ・インボイスやパッキングリストなど、必要な書類の作成
- ・複雑な通関手続きの代行
- ・保税地域での貨物の保管、梱包、配送を一括管理
このように、フォワーダーは輸送手配から通関、配送まで国際物流に関わる幅広い業務を一括して引き受けてくれます。
特に、複数の船会社や航空会社、通関業者などを一括して管理できるのがフォワーダーの大きなメリットです。荷主は自社で個別に業者を探す必要がなく、フォワーダーに一任することで効率的な国際物流を実現できます。
スムーズな海外市場への進出サポート
フォワーダーは、企業の海外市場進出を支援する上で重要な役割を果たします。特に、現地の輸送手配においては、最適なルートの選定やコスト効率の向上を実現し、柔軟な対応が可能です。
また、法規制対応では、通関手続きの代行や輸出入許可取得のサポートを行い、正確で迅速な手続きを提供します。これにより、企業は海外市場へスムーズに参入できるでしょう。
フォワーダーは単なる物流サービス提供者にとどまらず、海外進出のパートナーとして機能します。フォワーダーのサポートにより、企業は物流や法規制の複雑さから解放され、自社のコアビジネスに集中できるため、海外進出のハードルが下がります。
フォワーダーの選び方|確認しておくべきポイントとは
フォワーダーの専門分野と自社のニーズの適合性を確認することは、効率的で信頼性の高い国際物流を実現する上で非常に重要です。選定基準とポイントを参考に、自社に最適なフォワーダーを選ぶことで、スムーズな海外展開や輸出入業務が可能になるでしょう。
専門分野と輸送手段の対応力
フォワーダーの専門分野が自社のニーズに合っているか確認することは、適切なフォワーダーを選ぶ上で非常に重要です。
フォワーダーには主に「航空輸送」と「海上輸送」の2種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。航空輸送フォワーダーは速度重視の輸送に強く、医療品などの緊急性の高い貨物や生鮮食品、小口貨物に適しています。一方、海上輸送フォワーダーは大量輸送に強く、コスト効率の良い輸送が可能です。
フォワーダーを選定する際には、まず輸送方法の適合性を考慮することが重要です。自社の貨物の特性に合った輸送方法を得意とするフォワーダーを選びましょう。また、依頼する前に運送手段や対象の国や地域、品目など、自社が注力したい点を明確に定義しておくことも重要です。
対応エリアと現地ネットワークの有無
フォワーダーを選ぶ際には、現地法人や海外代理店の有無も重要なポイントとなります。現地法人や海外代理店を持つフォワーダーであれば、時差や言語の問題を解決し、効率的な物流が可能です。さらに、現地の法律や規制に詳しいため、トラブルを未然に防ぐこともできます。
また、海外拠点に日本人スタッフがいるかどうかも重要です。日本人スタッフがいることでコミュニケーションが円滑になり、誤解やミスのリスクを低減できます。特に、細かなニーズを持つ企業にとって、この点は非常に重要です。
このように、フォワーダーの選択は、自社の輸出入ニーズに最適なサービスを提供してくれるかどうかを判断するための重要な指標となります。
実績と取引量の確認
フォワーダー会社を選ぶ際には、サービス内容と料金のバランスも非常に重要です。輸出入手続きをすべて任せたい場合には、通関手続きや保険手配、倉庫管理などのフルサービスを提供しているフォワーダー会社を選ぶ必要があります。
また、料金の安さだけでなく、サービスの質と料金のバランスを考慮することも重要です。コストパフォーマンスの良いフォワーダー会社は、効率的な輸送ルートや方法を提案し、コスト削減を実現しつつ、質の高いサービスを提供します。
これらのポイントを参考にしつつ、複数のフォワーダー会社から見積もりを取り、サービス内容と料金のバランスを比較検討することが重要です。
サポート体制と対応力の評価
フォワーダーを選ぶ際には、緊急時やトラブル発生時の対応力とサポート体制を確認することも重要です。
国際物流では、より不確実性が高まる要素があり、自然災害による輸送遅延や政治的な問題による国境封鎖、輸送中の貨物の損傷や紛失、通関手続きの遅延など、予期せぬ事態が発生する可能性があります。このような状況下でも、トラブルに対する選択肢を数多く持ったフォワーダーなら迅速な対応によりトラブル解決に導いてくれるでしょう。
フォワーダーを選ぶ際には、現地法人に日本人スタッフや現地に精通したスタッフがいるか、トラブル解決の実績などのサポート体制を確認することが重要です。これらの要素を慎重に評価し、自社のニーズに最も適したフォワーダーを選択することが、効率的で安定した国際物流の実現につながります。
自社にマッチしたフォワーダーを選ぼう!
フォワーダーを選定する際には、専門分野や対応エリア、実績、サポート体制といった要素を重視し、自社に最適なパートナーを見つけることが重要です。これにより、安心して国際市場への進出を支援してもらうことができます。
SBSグループが提供する「EC物流お任せくん」は、顧客のニーズに応じてカスタマイズされたソリューションを提供します。貨物輸送から倉庫管理までを一括してサポートし、輸送効率の向上とコスト削減を実現可能です。また、国内外700以上の拠点を活かしたグローバルネットワークを通じて、迅速で確実な国際物流を支援します。
さらに、SBSグループはアジアや北米、欧州を中心に海外法人を展開し、12か国・40以上の拠点と営業所があります。輸出入に適した港や空港の近くに倉庫を備え、フォワーディング機能から越境ECまで幅広く対応可能です。これにより、顧客のニーズに応じた物流ソリューションを提供し、国際市場での競争力を強化するサポートを行っています。
自社に適したフォワーダーを選び、国際物流の第一歩を踏み出しましょう。