EC物流ブログ

2024.01.12
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今「物流テック」で注目を浴びているスタートアップ企業10選

ITやAIといった最新のテクノロジーによって、さまざまな物流課題・社会課題を解決する物流テック。物流ニーズの多様化に伴い、物流テックのスタートアップ企業が増えており、多種多彩な物流サービスを展開しています。

この記事では、物流テックを推進するスタートアップ企業が注目されるようになった背景や、その理由を解説します。

また、物流テックを推進する個性的なスタートアップ企業についても触れていますので、ぜひ参考にしてください。

今「物流テック」を推進するスタートアップ企業が注目を浴びている

物流業界は、慢性的かつ深刻な人手不足です。そのうえ、さらなるコスト削減や品質向上、環境負荷低減への取り組みなどが求められており、課題が山積しています。

したがって、最新のテクノロジーを導入することにより、物流業界の課題解決のみならず、物流のあり方すら変える可能性を秘めているのが物流テックです。

物流テックは、倉庫内の作業や配送の自動化をはじめ、在庫管理や配車の最適化、倉庫や車両のシェアリングなどさまざまなイノベーションを起こしています。

そのため、物流テックを推進するスタートアップ企業には、課題を抱える物流業界からの関心や支持が集まるようになりました。

そもそも「物流テック」とは?

「物流テック」とは、物流とテクノロジーを組み合わせた言葉で、ITによって物流業務を改革しようとする技術や概念のことを指します。

IoT、AI、ロボットなどの最新テクノロジーを活用することで、物流における配送や在庫管理などの業務を最適化し、飛躍的に業務効率を向上させることが可能です。

EC市場の拡大や2024年問題などに直面する物流業界を支える技術として期待されています。

スタートアップ企業による「物流テック」が注目されている理由

スタートアップ企業による物流テックが注目されている理由として、主に以下の3つがあげられます。次項で詳しくみていきましょう。

  • ・高齢化と人材不足
  • ・労働環境
  • ・EC需要の拡大

高齢化と人材不足

物流業界では、商品の配送を行うドライバー業務、ピッキング業務や倉庫管理業務などで労働力不足が起きています。その要因としてあげられるのが、少子高齢化とEC市場の拡大です。

日本は少子高齢化の影響により、若い世代の労働力が減少しています。物流業界では、有効求人倍率が常に1を超えており、求職者よりも求人数が上回っている状況です。新しい人材の不足により、業界全体の高齢化が進んでいます。

また、近年はEC市場の拡大に伴って荷物量が増加しており、トラックドライバーの人材不足がいっそう深刻な影響を与えています。

このため、限られたリソースを効果的に投入し、物流を回し続ける打開策として物流テックが注目されているのです。

労働環境

公益社団法人全日本トラック協会「トラック運送業界の2024年問題について」によると、トラックドライバーは全産業の平均と比較して年間労働時間が長い一方、年間所得額は低いという結果が出ています。

運送業務の性格上、長時間の運転と荷扱いを行う長距離ドライバーは、長時間労働になりやすいという課題を抱えています。

また、荷主企業との関係性や物流業界特有といわれる多重下請け構造により、しわ寄せを受けやすいという側面もあります。

この点において、ドローンやロボットなどの最新テクノロジーを活用する物流テックは、物流業務の自動化・省人化に貢献します。

ドライバーの負担軽減効果はもちろん、物流業界の業務全般における効率化が実現するため、労働環境の改善にも役立つでしょう。

EC需要の拡大

国土交通省が2020年7月に発表した「物流を取り巻く動向について」によると、宅配便の取扱件数はEC市場規模の拡大に伴い5年間で約6.7億個増えており、その増加率は18%以上です。

EC需要の拡大は今後も続くとみられており、現状の仕組みとインフラではいずれ対応しきれなくなるでしょう。

スムーズで正確な物流を維持するためには、物流テックを活用しながら根本的な業務効率化を図ることが急務とされています。

「物流テック」を推進するスタートアップ企業10選

物流業界におけるさまざまな業務を革新的なイノベーションで課題解決に導くスタートアップ企業。

ここからは、特に個性的な物流テックを推進する10社のスタートアップ企業を紹介します。

GROUND株式会社

GROUND株式会社は、物流業界が抱える課題解決の一翼を担う画期的なロボットの実証実験をはじめ、AIを活用したシステムや物流オペレーションの研究・開発をもとにした先端テクノロジーの最適化が得意分野です。

物流施設内作業で活躍する棚移送型ロボットは、ピッキング・棚入れを自動化すると同時に、精度向上や保管効率向上、作業時間短縮にも貢献します。

また、自立型協働ロボットは、アパレル商品のピッキング支援やスーパーマーケットにおける出荷業務の自動化支援などの導入実績があり、大規模物流倉庫以外でも省力化・省人化を実現します。

なお、GROUND株式会社では、グローバルなネットワークとロボット技術を活用したロボットソリューションを、導入から運用までワンストップで提供しています。

株式会社Logpose Technologies

株式会社Logpose Technologiesは、運送事業者向けの配車プラットフォームである「AI配車アシスタントLOG(ログ)」を開発・運営し、最適化された物流インフラ構築の実現を目指しています。

AI配車アシスタントLOGは、ドライバーの勤務時間や配送場所、トラックのボディサイズなどの制約条件を入力すると、LOGアルゴリズムが全ての制約条件を考慮し、配車・配送計画を自動作成します。

トラックの割り当てとルート選択の最適解がわかることで、配車業務の効率化と省人化、配送業務の効率化につながります。

RFルーカス株式会社

RFルーカス株式会社は、RFIDシステムを開発・提供しており、在庫・物品管理の業務効率化や生産性向上に大きく貢献しています。RFIDシステムとは、物品の位置情報を詳細に特定できるシステムのことです。

電波を用いた非接触の無線通信により、RFIDタグのデータを読み書きする自動認識技術を指し、5〜10m離れた場所からスキャナをかざすだけで、大量のタグを一括で読み取れます。

探索を含むロケーション管理が容易になり、入出庫や棚卸の時間も大幅に短縮可能です。

また、在庫情報の把握もタイムリーに行えるため、販売機会の喪失や余剰在庫といったリスクの低減も実現するでしょう。PFIDタグは電池不要で安価な点も魅力の一つです。

株式会社ロジレス

株式会社ロジレスが提供するEC自動出荷システム「LOGILESS」は、OMS(受注管理システム)とWMS(倉庫管理システム)の一体型システムです。

EC事業者と倉庫事業者が一つのシステムを利用することで手作業による連携が不要となり、ほぼ完全な自動出荷を可能にしました。

複数の倉庫、温度帯の異なる商品の同時購入、一定額以上の購入でノベルティ贈呈といった複雑な出荷指示も条件設定によって自動化でき、競合他社との差別化を図れます。

LOGILESSの利活用は、省人化、自動化による業務効率化を実現し、人的ミスの軽減、スピーディーな出荷、配送コスト削減による収益性の向上も期待できるでしょう。

CBcloud株式会社

CBcloud株式会社は、荷主と配送パートナーをつなぐ配送プラットフォーム「PickGo(ピックゴー)」、宅配業者や運送会社向けの業務支援システム「SmaRyu(スマリュー)」を運営しています。

PickGoには、全国5万人以上の軽貨物パートナーが登録しており(2023年4月時点)、配送需給の両者を直接つなぐことで、スピーディーかつ確実なサービスが実現しました。個人事業主ドライバーにとっては、新しい働き方としての期待も高まっています。

SmaRyuは、宅配業者や運送会社に向けたクラウド型DXシステムのことで、配送指示から運行状況、配送状況の管理、請求書の発行、日報の自動作成など、必要な業務をトータルで管理でき、業務効率化と労働環境の改善に役立ちます。

株式会社オプティマインド

株式会社オプティマインドが展開している「Loogia(ルージア)」は、ラストワンマイルに特化した配車システムです。

全国数億件の実走行データと時間帯別の交通状況を反映させたラストワンマイル配送地図を用いて、ルート最適化アルゴリズムにより配車計画を作成します。

また、ドライバーアプリを活用した配送業務の支援からリアルタイムでの動態管理機能までの一貫したサービスを幅広い配送業態に提供しています。これにより業務効率化に加え、CO2排出量の削減も実現可能です。

GreyOrange

倉庫オートメーションロボットの開発を行っているGreyOrangeは、人工知能を搭載したソフトウェアと搬送型ロボットを有機的に運用し、次世代の倉庫オペレーションやECフルフィルメントを実現するスタートアップ企業です。

倉庫全体で複数のオペレーターにピッキング支援を提供するロボットシステム「RangerAssist」は、自社開発したソフトウェア「GreyMatter」を搭載しており、人とロボットが連携できる環境を構築することで生産性の向上に大きく貢献します。

さらに、倉庫インフラストラクチャを変更することがないため、スムーズな導入が可能です。

アセンド株式会社

アセンド株式会社は、運送事業者向けの業務管理クラウドサービス「ロジックス」を提供するスタートアップ企業です。

ロジックスは、受注案件の管理や配車計画の作成、請求管理から請求書の発行など運送会社の現場業務のサポートに特化しています。

デジタルタコグラフや点呼データを取り込むことで、ドライバーの勤怠状況を把握できるため、改善基準告示・労働基準法違反リスクを考慮した配車計画の作成が可能です。

また、ロジックスは日々の業務を効率化するだけでなく、実績データや売上見込みの把握、車両や荷主ごとの稼働率や利益率の分析がしやすい点も特徴の一つといえます。

株式会社シマント

企業間物流のソリューションを展開している株式会社シマントは、メーカーと物流企業の間で用いられる発注データの統合と、運送するトラックにどの荷物をどれだけ積むのかを決める配車割り付け業務の自動化を提供しています。

荷主から提出されるフォーマットの異なる伝票データの加工や複雑な配車割り付け業務を、独自のデータ処理技術に置き換えることで、属人化からの開放に成功しました。

既存業務の変更と運用コストを最小限に抑え、企業間物流を中心とした物流DX戦略の構築と実装をサポートし、業界では初となる配送計画作成の自動化も可能にしています。

株式会社traevo

株式会社traevoは、物流サプライチェーン向けの業界横断型動態管理プラットフォーム「traevo(トラエボ)」を運営しています。

traevoでは、車両の位置や作業ステータスといった動態情報を、車載機器メーカー、サービスを問わず一元的に集約管理できるのが特徴です。例えば、荷主からの急な依頼でトラックの手配ができず、協力会社の車両で運送した場合でも、その車両の動態情報を確認できます。

また、輸送状況の全体把握のほかにも、災害発生時の緊急対応やサプライチェーン最適化検討など幅広い活用が見込まれます。

今後も「物流テック」を推進するスタートアップ企業から目が離せない!

物流業界が抱えるさまざまな課題を、AIやITによって解決に導く物流テック。テクノロジーの進歩によって、物流テックの分野は物流のあり方そのものを変える可能性を秘めています。

EC需要が今後も増加していく物流業界において、物流テックを推進するスタートアップ企業は、さらに重要性を増していくといえるでしょう。

また、総合物流企業SBSグループが提供する「EC物流お任せくん」では、商品の入庫から出荷、流通加工、配送といったEC物流の業務をワンストップで代行します。

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