EC物流ブログ

2024.10.28
EC物流ブログ

置き配とは?メリット・デメリットや政府による「置き配ポイント」事業についても解説

EC通販事業において「置き配」は、現代のニーズに応える配送オプションとして注目されています。特に、物流業界の「2024年問題」への対策としても期待されており、置き配を利用する購入者が増えています。

そこで今回は、購入者、EC事業者、配送業者の視点から、置き配のメリットをわかりやすく解説します。また、置き配を導入する理由や、導入時に注意すべきポイントについても詳しく説明しているので、導入を検討している方の参考にしてください。

置き配とは?

置き配は、配送業者が購入者と直接対面せずに商品を届けるサービスです。不在時や対面での受け取りを避けたい場合に、事前に指定した場所に荷物を置いてもらえます。

指定できる場所は配送業者によって異なりますが、一般的には次のような場所が選べます。

  • ・玄関前
  • ・宅配ボックス
  • ・ガスメーターボックス
  • ・車庫
  • ・自転車のカゴ
  • ・物置
  • ・建物内の受付や管理人室

通常の配達では、購入者に直接手渡ししますが、置き配では配送業者との対面が不要です。ライフスタイルの多様化に伴い、置き配を選ぶ人が増えており、今後さらに需要が高まると予想されます。

【立場別】置き配のメリット

置き配にはさまざまなメリットがあり、商品を届ける側と受け取る側それぞれに異なる利点があります。以下では、立場ごとに置き配のメリットを詳しく紹介します。

  • ・EC通販事業者にとってのメリット
  • ・配送業者にとってのメリット
  • ・購入者にとってのメリット

EC通販事業者のメリット

置き配を導入することで、EC通販事業者には次のようなメリットがあります。

  • ・顧客満足度が向上する
  • ・競合他社との差別化ができる
  • ・ブランドイメージの向上につながる

これらのメリットにより、市場での競争力が強化され、事業の持続的な成長が期待できます。

顧客満足度が向上する

置き配を導入することで、ユーザーの選択肢が広がり、顧客満足度が向上します。たとえば、「仕事で帰宅が遅く受け取りが難しい」「配達時間の指定に縛られたくない」など、さまざまなニーズに対応できるためです。

現代では、多くの人が日中に荷物を受け取るのが難しくなっており、たとえ配達時間を指定しても、その時間に自宅にいなければならないという制約があります。これが、予定の調整を難しくしたり、ストレスの原因になったりします。

また、急な予定変更や残業などで帰宅時間が不確定な場合も多いため、日時指定をしても受け取れないことがあります。こうした背景から、置き配は購入者にとって便利な選択肢となり、顧客満足度を高めるだけでなく、サービスの利用意欲も向上します。

競合他社との差別化ができる

置き配の導入は、競合他社と差をつける手段としても有効です。近年、在宅・不在に関わらず置き配を選ぶ人が増えてきています。

特に、新型コロナウイルス感染症の影響で、人との接触を避けたいというニーズが高まったことが背景にあります。非対面で荷物を受け取れる置き配は、安心感と利便性の両面から多くの人に支持されているのです。

このような状況を踏まえると、配送方法に置き配を選べることはECサイトの利便性を高め、購入先として選ばれる大きなポイントとなります。

ブランドイメージの向上につながる

置き配を導入することで、ブランドイメージの向上が期待できます。その一例が、サステナビリティへの取り組みです。

SBSの置き配サービス「SBS Ecoロジ便」では、再配達の減少により配送車の走行距離を短縮し、CO2排出量の削減を実現しています。この成果はグラフでわかりやすく示され、購入者が地球温暖化について考えるきっかけになります。

また、購入者のエコな選択をサポートし、企業が環境に配慮した取り組みを進めることで、社会的責任を果たすサービスを提供しています。このような環境への配慮が、企業のサステナブルな姿勢を示し、ブランド価値の向上に貢献します。

配送業者のメリット

置き配の導入には、配送業者にとって多くのメリットがあります。

  • ・再配達が不要になる
  • ・配送業務を効率化できる

これにより、業務の効率向上や人手不足といった配送業界の課題解決に役立てることができます。

再配達が不要になる

置き配を導入すると、不在による再配達の必要がなくなり、配送効率が大幅に向上します。EC商品の配達では、個人宅への配送が多いため、どうしても効率が下がりがちです。不在が原因で再配達が発生すると、さらに効率が低下し、人手不足に悩む配送業界にとって大きな課題となっています。

しかし、置き配を利用すれば、再配達の手間が省け、配送業者は時間とコストを節約できます。業務の効率化が進むだけでなく、配達時間を気にする必要がありません。さらに、非対面なので、配達員の立場としても感染症対策としても有効です。

配送業務を効率化できる

置き配を導入すると、配送業務の効率化が期待できます。お届け指定時間の制約がなくなるため、より効率的な配送ルートを組むことが可能になり、再配達の手間も省けます。

配送効率が向上することで、トラック1台あたりの配送個数が増え、昨今のドライバー不足問題への対策の一助となります。

これらのコスト削減は、CO2排出量の抑制にも貢献し、地球温暖化対策につながっていくエコな配送手段と言えるでしょう。

購入者のメリット

置き配の導入は、EC通販事業者や配送業者だけでなく、購入者にもさまざまなメリットをもたらします。ここでは、購入者にとっての利点を詳しく見ていきましょう。

  • ・不在時でも受け取りができる
  • ・非対面での受け取りが可能になる

このように、置き配の利用は受け取りの利便性を大幅に向上させます。

不在時でも受け取りができる

購入者にとって、置き配の最大のメリットは、家にいなくても確実に荷物を受け取れる点です。置き配を選ぶことで、配達の時間に合わせて家にいる必要がなくなり、自由にスケジュールを立てることができます。

さらに、玄関先や宅配ボックスなど、受け取り場所を選べるため、自分のライフスタイルに合わせて柔軟に受け取ることが可能です。

特に、不規則な生活や外出が多い人にとっては便利で、再配達の手間を省き、受け取りのストレスを軽減できます。

非対面での受け取りが可能になる

置き配のもう一つのメリットは、非対面で受け取れることです。置き配を利用することで、在宅勤務や育児中で忙しいときでも、玄関先で対応する手間が省けます。また、お風呂上がりや寝起きなど、人と顔を合わせたくないタイミングでも安心して利用できます。

配達時の煩わしさが減るだけでなく、チャイムで乳幼児が目を覚ます心配もなくなり、犬が配送業者に吠えるのを防ぐ効果も期待できます。

EC通販事業者が置き配を取り入れるべき理由

EC通販事業者が置き配を取り入れるべき理由として、以下の4つが考えられます。

  • ・2024年問題の解決策の一つとなる
  • ・ユーザーに新たな選択肢を与えることができる
  • ・ネットゼロやScope3など企業の目標達成につながる
  • ・配送費などのコスト削減につながる

2024年問題の解決策の一つとなる

置き配は、2024年問題に対する有効な対策の一つとして注目されています。2024年問題は、ドライバーの労働環境の改善が期待できますが、一方で人手不足の深刻化、運送コストの増加などが懸念されています。

置き配を導入することで、対面での受け渡し時間を短縮できるため、配送業務全体の効率化が可能です。これにより、限られた人材でより多くの配送をこなすことができ、輸送能力不足への対応策となります。

さらに、再配達が減少したり、時間帯指定がかったりすることでドライバーの労働時間が短縮され、長時間労働による負担が軽減されるため、ドライバーの離職防止にもつながる可能性があります。

ユーザーに新たな選択肢を与えることができる

置き配は、購入者の選択肢を広げます。従来の対面受け取りに加えて置き配を導入することで、購入者は自分のライフスタイルに合わせた柔軟な受け取り方法を選べるようになります。

配送の選択肢が少ないと、購入者はスケジュールに合った配送方法を選ぶことができず、受け取りが不便に感じるでしょう。特に、仕事や用事で忙しい人にとって、限られた選択肢はストレスの原因となることがあります。また、受け取り方法を選べないことで購買意欲が低下し、リピーター獲得や好意的なレビューの獲得が難しくなるかもしれません。

このように、置き配の導入はユーザーエクスペリエンスの向上に関係し、最終的には企業の利益にもつながると考えられます。

ネットゼロやScope3など企業の目標達成につながる

置き配の導入は、企業がネットゼロやScope3といった環境目標を達成するうえで不可欠です。購入者が置き配を利用することで再配達が不要になり、配送業務が一度で完了します。これにより配送車両の走行距離が短縮され、燃料消費が減少するため、CO2の排出量削減が期待できるでしょう。

EC事業者は個別に消費者へ配送するビジネスであることから、直接的、間接的排出量を実質ゼロにしていく環境目標への取組みにおいてはラストワンマイル領域への環境対応が不可欠です。また、それらの対応に積極的に取り組むことは、企業価値を高め顧客からの支持を獲得することにもつながります。

配送費などのコスト削減につながる

置き配の導入は、配送の効率化に大きく貢献します。再配達が不要になることで、配送業者は同じ荷物を複数回運ぶ必要がなくなり、燃料費や人件費が削減されます。これにより、配送効率が向上し、全体的な運送コストの低減が期待できるでしょう。

さらに、置き配を活用することで配送ルートの最適化が可能となります。企業は、このようなコスト削減効果を通じて競争力を高めることが可能となるため、置き配の導入は非常に有益です。

2024年10月から政府による「置き配ポイント」事業も開始

政府は、物流業界の「2024年問題」の解決策として、2024年10月から「置き配ポイント」を開始することを発表しました。置き配ポイントとは、「玄関前や宅配BOXへの置き配」や「コンビニエンスストアでの受け取り」など、再配達の削減につながる置き配を選択した消費者に対して「ポイント」を付与する施策です。

「置き配ポイント」によって、購入者はポイント付与の特典を得られるため、置き配を選択する購入者が増加する見込みです。配送業者にとっては再配達が削減されることで時間とコストの節約につながり、配送効率が向上します。

このように、「置き配ポイント」は購入者と配送業者双方にメリットをもたらし、物流効率化と顧客満足度向上に貢献する施策として期待されています。

置き配により発生する注意点とは?

置き配の導入には多くのメリットがありますが、同時にいくつかの注意点も存在します。

  • ・誤配送の可能性
  • ・盗難の可能性
  • ・荷物が汚れる可能性

これらに注意しながら、置き配を導入しましょう。

誤配送の可能性

置き配の注意点の一つは、「誤配送の可能性」です。対面受け取りの場合は名前を確認できますが、置き配は非対面であるため、誤配送が発生しても気づきにくいという問題があります。

EC通販業者側のミスがそのまま誤配送につながりやすく、再発送には手間がかかるため、顧客満足度の低下を招く可能性があります。

この問題を防ぐためには、誤発送が発生しにくい業務システムや業務フローが重要です。また配送状況をリアルタイムに知らせる写真付きの情報更新などを、webやアプリを通じて行うことで、配送側も受け取り側も証跡を確認することで、発生後の検知も対処もスムーズになるでしょう。

盗難の可能性

置き配は「盗難の可能性」にも注意が必要です。商品が届いてすぐに荷物を家の中に持ち込むことができれば問題ありませんが、不在時に荷物が届くと、長時間屋外に置かれたままになるため、盗難のリスクが高まります。

このリスクを軽減するためには、宅配ボックスや宅配袋を設置したり、配送時間を事前に通知したりするサービスを取り入れることが有効です。また、盗難・転売リスクの高い商品の置き配は避ける、保険や保証付きのサービスや通販会社を選択するなどの対応も検討します。

荷物が汚れる可能性

置き配は「荷物が汚れる可能性」にも注意が必要です。屋外に商品を置くことが多いため、土や埃、雨で商品が汚れるリスクがあります。また、急な天候変化により、受け取り時には激しい雨が降り始めるといったケースもあります。

対策として、汚れにくい置き場所を指定し、配達完了連絡を確認しながら迅速に受け取る必要があります。もし配送会社が提供する、汚損防止の袋などがあれば、合わせて利用を検討します。

パーパスドリブンかつエコな選択として置き配を導入しよう

置き配は、増え続けるEC配送に対しての環境対策であり、物流2024年問題への対応にもつながるものです。また購入者にとって利便性を向上させる配送方法です。EC通販事業者にとっては、顧客満足度の向上や競合他社との差別化、ブランドイメージの向上につながります。また、配送業者にとっては再配達が不要になるため、業務効率化が可能です。このように、置き配は現代のニーズにマッチしたサービスと言えるでしょう。

SBSグループでは、置き配サービス「SBS Ecoロジ便」を提供しています。ECの利便性の追及やコスト削減ばかりに目が行きがちですが、このサービスは環境・通販事業者・ユーザー・配送会社にとって魅力的であり、ECの持続的な成長を支えるものです。パーパスドリブンでエコな選択として、置き配サービスの導入をぜひご検討ください。